今回ご紹介するのは、刊行から70年以上たった今でも世界中で読み続けられている不朽の名作サン=テグジュペリの『星の王子さまです!

近年「読書をしなくなった」と言われる日本人でも、読んだことがあるという方は多いでしょうし、題名を聞いたことくらいはあるという方なら大勢いるのではないでしょうか。

明快でわかりやすいストーリーの中に散りばめられた、この現代社会・現代世界への数々の”問いかけ”、”メッセージ”。

時代が変わり人々のあり様も変化したはずなのに、そこには不変的な”本質”がある。

そんな一作品。

いつ読んでも、何度読んでも、きっと”何か”を得ることができる、そんな『星の王子さま』についてお届けです!

 

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『星の王子さま』の作品概要

題名

星の王子さまLe Petit Prince, The Little Prince

作者

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリAntoine de Saint-Exupéry

作品ジャンル

児童文学

出版

新潮文庫

 

 

『星の王子さま』のあらすじ

星の王子さまは、「僕」という主人公の一人称で書かれています。

物語は、「僕」が子供のときに、自分の絵を見せたときの大人たちの反応や社交的に大人たちに合わせなければいけない環境からまわりに馴染めないでいた、という思いを綴るところから始まります。

そして、そんな「僕」が6年前の回想として、砂漠に飛行機を不時着させた際に出会った、とある「王子さま」との物語を描いています。

題名の『星の王子さま』当たるこの「王子さま」は、無垢で無邪気な子供として描かれており、何かと現実的な「僕」に対して、次々と王子さまは自らの旅の経験を話していきます。

それらの話を通じて、「僕」も「人間として大切なものは何なのか」ということを考えていく、という物語の流れとなっています。

 

 

『星の王子さま』を読んで

評価・感想

おもしろさ:純粋に、このストーリーを楽しめるか。
テンポ・読みやすさ:言葉遣いや表現方法など、文章として読みやすいかどうか。
世界観:設定や舞台背景、ストーリーの仕掛けの斬新さなどを評価。
キャラクター:登場するキャラクターの魅力。
ストーリーの理解のしやすさ:本に書かれた世界をイメージしやすいか、ストーリーを理解しやすいか。
感じるもの:物語でありながらメッセージ性や読み手が得るものがあれば評価。

物語は「僕」の一人称ですが、その大部分が「王子さま」から「僕」が聞いた星々を旅していたときのお話となります。

「バオバブが育つと星が割れてしまう」や「王様が1人座れるくらいの大きさしかない星」といった様に、星の大きさが非常に小さく表現されているところなどから、サン=テグジュペリの発想力に驚かされます。

読んでいるとごくごく当たり前に感じますが、いざ自分が書けと言われたらなかなか思いつきませんからね!

そんな星々を旅しながら多くの「疑問」を感じていく「王子さま」。

その疑問一つ一つが、現代にまで通じる「問いかけ」であったり「皮肉」であったりします。

これらの「問いかけ」や「皮肉」といった、サン=テグジュペリのこの世の中に対する深い洞察は鋭いですし、それらを非常にわかりやすく表現しているのもすごい

無垢な王子さまだからこその疑問が、本当に的確に刺さる。。

もちろん”書き手”である「僕」も、冒頭から幼少期を振り返って、大人になると、みんな「数字」ばかりという非常に印象的なことを言っています。

ただ、子供のときはそれくらい”鋭かった”「僕」でも、成長すると無垢な王子さまをはじめは無下に扱うのですから、ここの「僕」は現代の大人たちの”鏡”となっているように感じました。

誰だってはじめは、”大人に対する疑問”を感じる無垢な子供だけれど、成長とともに”ならされて”いってしまうと言う風に。

本当に、どこを切り取っても何かしら感じられる。

それでいて、非常にわかりやすく明快な文章、表現、ストーリー。

いや〜、ホント言うことがないですね!!

 

作中キーワードからの解釈・考察

バオバブの木

「王子さま」の星には、たまにバオバブの木の芽が生えてしまいます。

バオバブの木は根が大きく、とても小さな王子さまの星でそのまま育ってしまうと星が割れてしまいます。

ですので毎日、バオバブの芽が生えていたら取り除く作業を怠ってはいけません。

ここからは、やるべき小さな仕事をコツコツやらないと後で大変なことになるという教訓を感じられました。

人は、「重要かつ急ぎ」のことから何事も手をつけると思います。

ですが本来は、重要だけど急ぎではいこと」から手をつけるべきだ、とナポレオン・ヒルも書いています。

結局、「重要だけど急ぎではいこと」から手をつけていけば、自ずと急いでやらなければいけないことはなくなるということですね!

 

王子さまの星には、一輪の花が咲いています。

この花は喋るのですが、風を避けろだの虫を取れだの、何かと注文してきます。

そうしているうちに王子さまは、花に愛想をつかしてしまいます

しかしお世話をしなくなってしばらくして、花がその美しい見た目や香りで王子さまを癒してくれたことを思い出し、花に感謝といたわりの想いを再び持ち、王子さまから歩み寄るのです

ここでは、「動植物への愛情を持つこと」も感じますが、それ以上に表面上の言葉ばかり聞くのではなく、行動やその言葉の意味をもっと見ようというメッセージをより強く感じました。

口ではあれこれ注文してきた花ですが、花は存在するだけで王子さまに癒しを与え、話し相手にもなり、王子さまにとってかけがえのないものでした。
(花も最後には、王子さまにちょっとだけ”デレ”ます。笑)

世の中には、黙々と行動で示す人がいる。
ツンデレや口下手だっている。笑

そんな人たちの表面だけでじゃなく中身ももっとよく見てあげて!ということですね!!

 

小さな星の王様

とある小さな星に、1人でいる王様がいました。

彼は、自分自身で何を支配しているのかわかっていないのに人を支配しようとする、とにかく命令しようとする人でした。

何も把握していない、何も見えていないにも関わらず人の上に立ち、命令を下す愚かな人、という皮肉ですね。

そして、そんな人間が世の中にはたくさんいるということを伝えたいのではないでしょうか。

 

大物気取りと酒浸りの男

この2人は、よくいる”ダメな大人”の例ですね。笑

器の小さな大人と、現実から逃げ続ける大人

こうはなりたくないとだけもが思うけど、知らず知らずのうちになっているかもしれないという教訓

人の振り見て我が振り直せとはよく言ったものです。

ホント、全日本人に読んでほしいものです!!笑

 

実業家

実業家は「星」を持っています。
ここでの「星」は「お金」を意味していると考えられます。

そんな実業家は、ただ「星」を”管理しているだけ”で、星は何の役にも立っていないし、実業家も星を利用して何かをなそうとなんてしていません

これも、現代のお金持ちたちへの皮肉に感じますね。

もちろん、実業家の全員が全員というわけではありませんが、中にはお金を稼ぐことしか考えておらず、何かの、誰かの役に立つことをしようとなど思っていない人もいるでしょう。

そんな人にはならないように、という教訓ではないでしょうか。

ちなみに、僕は「お金を稼ぐこと」そのものは何の問題もないと考えています

別に、良いことでもなければ悪いことでもない。

生活するために必要ですし、より良い生活をするには綺麗事抜きで、より多くのお金がいりますからね。

大事なのは、「どのようにお金を使うか」でしょう。

ここに人の人格が表れると思います。

自分のためだけに使うのか、人のためにも使うのか、はたまた使わないのか。

『星の王子さま』の物語の「星」の話に当てはめると、「星」をただ管理するのではなく、多くの人に貸し与えたり解放したり、何かの開発のための場所にしたりと、様々に使い道はありますからね。

その部分で、「人間としての器」も計れるでしょう

 

ガス灯の点灯人

電気が普及している現代には馴染みがありませんが、かつては町の電灯に明かりをつける「点灯員」という仕事の人がいました。

とある星にもそんな点灯員がいるのですが、その星は小さすぎて、すぐに日が登っては沈み、また登っては沈みます。

その度ごとに点灯員は電灯を消しては点け、消しては点けてを繰り返しており、もうクタクタなんです。

王子さまは、はじめは「人の役に立っている素晴らしい人だと感じます。

ですが、次第に違和感を覚えはじめます。

その点灯員は、ただ指示を聞くだけで自身では何も考えず、他の人から言われたことに従うだけの人でした

それでいて、「休みたい、寝たい」と口にします。

まぁ、今風に言えば”社畜”でしょうか。。笑

そして、王子さまが「もっと良い方法があるよ」と提案すると、何かと言い訳を言って聞く耳を持ちません

もっと考えて行動してやりがいを感じればいいのに」と王子さまは考え、その星をあとにします。

これも現代の人間、とりわけ日本人に伝えたいメッセージですよね!

「せっかく人のためになっているのに、どうしてそんなに暗いの?」
「ただ命令に従うだけじゃなくて、もっと自分で考えて生きていこうよ!」

そんなメッセージに感じました。

僕も強く思います。

連休明けや長期休み明けでは、なんだかんだと色々愚痴をこぼしながらお仕事へ向かう人がとても多い。

「そんなに休みたいなら自由に働ける仕事を見つければいい。」
「自由に働くためにはどうすればいいのかを調べ、考え、行動すればいい。」

そう言われるときっと、
「そんなの理想だ」
「今の仕事でいっぱいだ」

と言うのです

それでいて、通退勤の時間や家では趣味の時間に費やしているのではないでしょうか?

変わる努力もしないで愚痴や人の悪口・陰口を言うのは違いますよね。

そして、変わる努力もしないで現状が変わるわけがないのです

自分が変わらずに、でもその仕事がやりたくないなら、無理やりにでもやりがいを見つけるか、ほかの仕事をするかしかないのに。

せっかくの自分の人生なのに。。

 

地理学者

ある星の学者は、頭でっかちな社長や研修者を表現しているように思いました。

自分では行動を起こさず、人の話を聞いて資料の上で采配するだけ。
実状が見えておらず、机上の空論ばかりを言う人。

これも社長や研究者の全員が全員が、というわけではありませんし、現代ではむしろ、そういう社長・経営者や研究者は少ないと感じます。

事件は現場で起きてるんだ!!
ということですね!笑

 

きつねとの出会い

「王子さま」は長い旅の果ての最後に、地球にたどり着きます。

そして長く歩いているうちに、「きつね」と出会います。

きつねからは、なつくということを教わります。

「なつく」とは「絆を結ぶこと」。

そして、絆を結べば「その人にとって唯一の存在になる」ときつねは言います。

絆を結べば、きつねから見た王子さまは、たくさんの人間の中の特別な1人になる。
そうすれば、金色に輝く麦畑を見ただけで王子さまの黄金の髪を思い出し、想い出に浸ることができる
、と表現しています。

王子さまは「花」とすでに絆を結んでいますから、地球にあるたくさんのバラを見ると、自分の星のバラを思い出すことができる。

唯一の存在になれば、ちょっとしたことでその人や動物やモノを思い出すことができる。

その数が多いほど、日々が輝いてみえる!ということですね!

人間はどんな人とも動物ともモノとも絆を結ぶことができる。

これが人間の良いところ、大切なものだと言っています。

かけがえのないものは、「共有した時間そのもの」なんだ。
人間はそのことを忘れてしまっている
、ときつねは言っています。

 

井戸の水

「僕」は砂漠に不時着してから水を探しまわりますが、砂漠の真ん中ということもあり水源を見つけることができません。

そうして、「王子さま」と水を探すこととなります。

その際王子さまと、砂漠と夜空の美しい光景を目にし、苦労の果てに井戸を見つけ出しました。

王子さまとの美しい想い出が生まれ、自分の苦労や努力の先に見つけた水だからこそ一層おいしい。

そして、そんな井戸の水は永遠に忘れることのないものになると言います。

上のきつねの話と同じですね!

人間は、人・動物、モノ、コトについて、それに関わった事柄をすべて含めて想い出にします

そして、それを連想するものを見ると思い出し、その度ごとに想い出に浸ることができる、ということですね!

 

 

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『星の王子さま』のまとめ

ということで、今回はサン=テグジュペリの『星の王子さまをご紹介してきました!

色々書いたことがここまで読んでくださったあなたに伝わっていればよいのですが、、
まぁ正直、物語は読んだ人が自分の心のままに何かを受け取るのが一番良いと思いますからね!

そして、それを文字にするなんてことは別にしなくてもよい作業だと思います!(ブックレビュー・書評を書く人のセリフではありませんが。笑)

ともあれ、『星の王子さま』は大人になったからこそ読みたい作品です。

年をとると、いろいろ失っていく。

その通りだと思います。

でも、失ったのならまた取り戻せばいい

『星の王子さま』は、そんな「大人になって失ったもの」を取り戻させてくれる作品です。

それでいて読みやすいのも大きなポイントですね!

各出版社から売られておりそれぞれ訳が少し違いますし、縦書き横書きと種類も豊富です。

ぜひ本屋さんでご自身のお手に取りながら、どの”王子さまの世界”へと誘われるか、決めて欲しいです!

一番大切なことは心で見るもの。目には見えないんだ。