みなさんこんにちは!旅狼かいとです!
今回ご紹介するのは、“花の御寺”こと奈良の「長谷寺」です!
奈良県桜井市初瀬に位置するこのお寺は、そのあだ名の通り四季折々の花々を愛でることができるのが大きな魅力の一つです。
特に、春の牡丹の名所として、そして秋の紅葉の名所として古くから親しまれていますよ!
さらに、長谷寺が建つ初瀬山は『万葉集』で多くの詩に詠まれ、『源氏物語』や『枕草子』にも登場するなど創建当初から多くの信仰を集めていました。
中国の伝説にも登場し、そのエピソードから「美」のご利益があるとも言われており、多くの意味で、まさに”美しい”寺院なのです!
そんな奈良の長谷寺について、歴史や由来、旅行の際に必ずチェックしたい見どころやランチなどの観光情報をお届けしていきます!
長谷寺の歴史
長谷寺は、奈良県の初瀬山の中腹に本堂が建つ真言宗豊山派の総本山の寺院です。
全国に約240ほどある他の「長谷寺」と区別するために「大和国長谷寺」や「総本山長谷寺」と呼ばれることもあります。
有名なもう一つの長谷寺というと、、鎌倉の長谷寺ですね!
鎌倉の長谷寺も花々の名所として有名で、特に初夏のあじさいと秋の紅葉が見どころですよ!
(ちなみに鎌倉の長谷寺は浄土宗のお寺なので、中身はまったく違いますよ!)
奈良の長谷寺に話を戻しますと、、
長谷寺は西国三十三所観音霊場の第八番札所となっており、日本でも有数の観音霊場、つまりは霊験あらたかなお寺として知られています。
創建は奈良時代とされていますが、その詳細は今日でも不明というちょっと謎めいたところもまた魅力。
長谷寺に残る伝承によると、
天武天皇の時代の朱鳥元年(686年)、僧侶の道明が初瀬山の西の丘(現在の本長谷寺が建つ場所)に三重塔を建てた。
約40年後の神亀4年(727年)に、僧侶の徳道が東の丘(現在の本堂が建つ場所)に本尊十一面観音像を祀り、寺院として開山した。
という創建の由来となっているようですね!
9世紀中頃には、朝廷からの監督を受けるかわりに経済的援助などの保護を受ける官寺(かんじ)に認定され、三綱(さんごう)が置かれていたと考えられています。
「所司(しょし)」とも呼ばれる「三綱」は、仏教寺院において寺院を管理・運営して僧や尼たちを総括する「上座(じょうざ)」「寺主(じしゅ)」「都維那(ついな・維那とも)」の3つ僧職の総称です。
仏教寺院の管理と運営を任されていたということですから、当然力あるお寺だったことがわかりますね!
実際、10世紀以降の長谷寺の再建は”朝廷が関わる国家事業的な位置付け”にされた、という記録もあります。
平安時代中期以降は観音霊場として貴族からの人気を集め、平安摂関政治の代表的存在である藤原道長も長谷寺に訪れた歴史があります。
その後も全国から人気を集めていた奈良の長谷寺。
豊臣秀吉によって新義真言宗総本山の根来寺(ねごろじ)を追われた僧侶たちが長谷寺に入山したことで、現在の真言宗豊山派が開かれました。
“花の御寺”長谷寺の伝説と由来
日本の平安時代中頃、中国は唐という王朝の時代でした。
皇帝の名は僖宗(きそう)。
僖宗には多くの后がおり、その中の第四皇后に馬頭夫人(めずぶにん)という、とにかく顔が馬に似ている女性がいました。(名前の通りやないかい。)
正直なところ容姿では他の后に劣っていた馬頭夫人ですが、情が深く非常に奥ゆかしい様子であったことから、皇帝は他の后に心を移すことがないほどに馬頭夫人を寵愛します。
当然、他の后たちはこの状況が面白くない。
そんなわけで、彼女たちはなんとかして皇帝の前で馬頭夫人に恥をかかせ二人の仲を裂いてやろうと一致団結。(女性は怖いなぁ。。)
他の后たちは、花が盛りを迎える明るい日中に宴を催し、馬頭夫人の顔を皇帝によく見せてやろうと画策します。
宴の知らせを聞いた馬頭夫人は焦ります。
花が盛りを迎えるまでは15日しかない。
その間になんとかして、皇帝に自分の顔を見せることなく宴を終える方法を探さなくてはいけない。。
馬頭夫人はまず、医師に相談します。
しかし医師は、生まれつきの容貌を薬で治療することはできないと伝えます。(そりゃそうだ。)
頭をかかえる馬頭夫人でしたが、医者は薬の代わりに「素神(そしん)」という仙人がその願いを叶えてくれるだろうと伝えます。
藁にもすがる想いで、馬頭夫人はすぐに素神を召し、自らの願いを伝えます。
すると素神は、そのような願いは仙術の及ぶところではなく、神仏に祈るべきものであると答えます。
そして、自分が知っている中でとりわけ威厳に満ちて優れた仏として、日本の長谷寺の観音さまを紹介しました。(ここでまさかの長谷寺!)
素神仙人の言葉を信じるしかない馬頭夫人は、長谷寺の観音さまに七日七晩祈願しました。
すると、、なんということでしょう。
観音さまの霊験によって、馬頭夫人は絶世の美女へと大変身を遂げたのです。
結局、馬頭夫人は花盛る中行われた宴でその美貌を皇帝に見せることとなり、馬頭夫人は変わらず、僖宗の寵愛を受け続けることになったのでした。
そして宴のあと、馬頭夫人は自らを美貌へと変えてくれた長谷寺へ数々のお礼の品を贈ったのでした。
長谷寺のご利益
馬頭夫人の伝説の真偽は定かではありません。
ですが、馬頭夫人からの贈り物の中に牡丹の苗木があったことから、奈良の長谷寺の境内にはたくさんの牡丹が植えられるようになったとされているのです!
加えてこの伝説から、長谷寺の権能として「美」のご利益が非常に有名なのです!
また『源氏物語』の『玉鬘』や『蜻蛉日記』に登場する長谷寺のエピソードから「縁結び」のご利益でも知られています。
もちろん、本尊の十一面観音のご利益である10種類の現世での利益(十種勝利)と4種類の来世での果報(四種功徳)も得ることができますよ!
※ウィキ先生によると、、
十種勝利は
・離諸疾病(病気にかからない)
・一切如來攝受(一切の如来に受け入れられる)
・任運獲得金銀財寶諸穀麥等(金銀財宝や食物などに不自由しない)
・一切怨敵不能沮壞(一切の怨敵から害を受けない)
・國王王子在於王宮先言慰問(国王や王子が王宮で慰労してくれる)
・不被毒藥蠱毒。寒熱等病皆不著身(毒薬や虫の毒に当たらず、悪寒や発熱等の病状がひどく出ない。)
・一切刀杖所不能害(一切の凶器によって害を受けない)
・水不能溺(溺死しない)
・火不能燒(焼死しない)
・不非命中夭(不慮の事故で死なない)
四種功德は
・臨命終時得見如來(臨終の際に如来とまみえる)
・不生於惡趣(悪趣、すなわち地獄・餓鬼・畜生に生まれ変わらない)
・不非命終(早死にしない)
・從此世界得生極樂國土(今生のあとに極楽浄土に生まれ変わる)
だそうです。
なんだろう、ところどころ無理くり加えた感があるような。。
長谷寺の見どころ
ではではお待ちかね!
実際に長谷寺へ行ったら絶対にみておきたい見どころをご紹介していきます!
四季折々の花々
長谷寺最大の見どころといえば、一年を通じてさまざまな花が咲き誇る境内でしょう!
その様子から「花の御寺(はなのみてら)」とも呼ばれる長谷寺は、『源氏物語』や『枕草子』、『更級日記』といった数々の古典文学にも登場します。
中でも『源氏物語』第二十二帖『玉鬘(たまかずら)』のエピソードに登場する「二本の杉(ふたもとのすぎ)」は、現在も境内に残っているほど。
春は牡丹や桜、夏は紫陽花や蓮、秋は紅葉や金木犀、冬は寒牡丹や山茶花など、長谷寺はここにはあげきれないほどの花々に飾られます。
中でも春に見頃を迎える牡丹が、長谷寺の、そして長谷寺が立つ初瀬山の代表的な花。
例年4月中旬~5月上旬に見頃を迎え、境内には150種・7000株もの牡丹が咲き誇るのですよ!
もちろん、今回の写真の中心である秋の紅葉もここでしか見ることのできない風景が広がります。
特に、下で紹介する本堂からの眺めは一見の価値が大いにあるので要チェックです!!
仁王門
奈良の長谷寺は、近鉄長谷寺駅から徒歩15分ほどのところに位置します。
そして長谷寺に到着して最初に迎えてくれるのが、「仁王門」です!
長谷寺の総門で、楼門でもあります。
「長谷寺」の額字は後陽成天皇直筆の宸筆。
それだけでも、この長谷寺が当時重要視されていたことがわかりますよね!
個人的には、参拝者を出迎えてくれる大きな灯篭が印象的でした!
登廊
仁王門の先にあるのが、「登廊(のぼりろう)」と呼ばれる階段廊下になります。
長歴3年(1039年)に、当時の春日大社の社司だった中臣信清が子供の病気が治ったことに対するお礼に造ったもの。
百八間、三九九段、上中下の三廊にわかれています。
吊るされているのは「長谷型」と呼ばれる提灯。
これがまたいい雰囲気を醸し出してくれていましたね〜!
提灯・灯籠といえば、奈良公園の春日大社も見どころですよ!
本堂
登廊を登り終えると、いよいよ「本堂」です!
長谷寺の本堂は京都の清水寺と同じ「懸造り(かけづくり)」によってつくられています。
懸造りは、急峻な崖や山の斜面に建てるための日本が誇る古代からの技術ですね!
本尊が安置されている正堂を参拝するための場所「礼堂」が、本堂の中心となっています。
礼堂の雰囲気は風景はなんだか独特なもので、奥をまたぎ見ると視界に入るお釈迦様や、柱の合間から見える木々がとても印象的でした。
正堂と礼堂の間にある「相の間」には、おみくじや燭台が置かれています。
しっかりとお参りをして霊験あらたかな長谷寺のご利益をいただいていきましょう!
本堂からの風景と紅葉
奈良の長谷寺の本殿最大の見どころは、舞台からの風景です!
中でも色とりどりの紅葉に囲まれた五重塔は、数ある長谷寺の見どころの中でも随一のフォトスポットですよ!
五重塔と眺める本殿
本殿から眺める「五重塔」は圧巻の風景ですが、もちろんその麓に行くことだってできますよ!
そして、本殿の舞台から眺める五重塔が見どころなのであれば、その反対も然り。
五重塔が立つ丘からは、紅葉に囲まれた本堂とその舞台の景色を楽しむことができますよ!
ちなみに、五重塔の横に長谷寺の”始まりの場所”とも言える「本長谷寺」があります。
長谷寺の由来や伝説に興味を持った方は、本長谷寺にもぜひ寄ってみてくださいね!
長谷寺の観光情報
入山時間
4月~9月
8:30~17:00
10月~11月、3月
9:00~17:00
12月~2月
9:00~16:30
秋の本尊大観音尊像秋季特別拝観(2021年)
10月9日(土)~12月5日(日) 9:30~16:00
※その他、牡丹まつり期間(例年4月中旬〜ゴールデンウィークで開催)などで時間延長あり
料金
大人:500円
中・高校生:500円
小学生:250円
障害者手帳掲示の場合250円(同伴者1名に限り障害者割引適用)
特別拝観期間中に限り、入山料と特別拝観料を合わせた共通入山券が1300円で発行されます。
紅葉の見頃
色づき始め:11月上旬
見頃:11月中旬〜11月下旬
アクセス
近鉄大阪線 長谷寺駅から徒歩15分
奈良交通バス 長谷寺参道口から徒歩10分
駐車料金
二輪:200円
普通車:500円(65台分あり)
長谷寺近くでランチ&食べ歩き!
長谷寺と最寄り駅の近鉄大阪線 長谷寺駅の間の道には、料亭やお土産屋、そして和菓子屋さんが並んでいます。
ランチに嬉しいお店が多く、徒歩15分ということで食べ歩きにもピッタリの距離なのです!
ということで最後に、ランチと食べ歩きにオススメのお店をご紹介します!
①田中屋
長谷寺の門前に佇む老舗料理旅館である田中屋。
長きにわたり、旅館としてだけでなく食事処しても旅人の疲れを癒しています。
和食料理・定食・甘味など、とりあえず田中屋に入れば美味しいものが食べられる!という安心感がウリですね!
②長谷路
建物が有形文化財に登録されている長谷路。
伝統ある山菜そばに柿の葉寿司が名物で、その雰囲気から常に人気が絶えない食事処です。
長谷寺の観光の後にホッと一息、日本らしい雰囲気の中お休みしたい方にはピッタリですよ!
③長谷きりん カフェ
アットホームな雰囲気がウリの長谷きりんカフェ。
バターチキンカレーやちゃんぽんなど、まわりのお店とは一味違った雰囲気なのがオススメポイント!
土日限定のオープンなのが特別感があってより魅力を引き立てます!
それでお値段もリーズナブルなのが嬉しいですね!
今回の3箇所以外にも、長谷寺の近くには甘味処や食事処はたくさんあります!
フラッと立ち寄って食べ歩きなんてのも最高ですよ!
長谷寺のまとめ
ということで今回は、奈良県の“花の御寺”こと長谷寺についてご紹介してきました!
登廊や本堂では日本のお寺らしい雰囲気を味わうことができ、舞台からは四季折々の木々に彩られた風景を堪能することができます。
今回は紅葉の時期に行き、色づき始めの紅や橙、黄色の素晴らしいコントラストを味わうことができましたよ!
秋だけでなく、どの時期に行っても花々に飾られた素晴らしい境内を楽しむことができるのが、長谷寺の魅力です。
奈良へ足を運んだ際はぜひ、長谷寺へ足を運んでみてください!
花々に彩られた日本文化を感じること間違いなしですよ!
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