みなさんこんにちは!旅狼かいとです!
前回に続き、今回のブログでも「ヴェルサイユ宮殿」についてお届けです!
しかし今回取り上げるのは、メインのヴェルサイユ宮殿と庭園ではありません。
この記事でご紹介するのは、一般的には「離宮」と呼ばれる「グラン・トリアノン(Grand Trianon)」と「プティ・トリアノン(Petit Trianon)」についてです!
両者をまとめて、「トリアノン宮殿とマリー・アントワネットの離宮」と呼ぶこともあります。
(フランス語だと、“Châteaux de Trianon et Domaine de Marie-Antoinette“になります。)
そう!
フランスを代表する人物であると同時に“悲劇のヒロイン”と呼ばれるマリー・アントワネット(Marie-Antoinette)にも非常に馴染み深い場所なのです!!
そんな2つのトリアノンは、ヴェルサイユ宮殿の敷地内にはあるものの、宮殿と庭園からは少し離れた位置にあるため訪れないという方が多いのではないかと思います。
しかしっ!!
実際に足を運んでみると、『むしろグラン・トリアノンとプティ・トリアノンの方が好きだ』
という方は絶対にいると感じました!
というか、僕はヴェルサイユ宮殿の中ではプティ・トリアノンが一番好きです!
それくらい素敵な雰囲気をもったトリアノン宮殿とマリー・アントワネットの離宮について、たっぷりとご紹介していきます!
👇ヴェルサイユ宮殿と大庭園についてはこちらをご覧ください!👇
グラン・トリアノン(Grand Trianon)について
グラン・トリアノンの歴史
まずは「グラン・トリアノン(Grand Trianon)」についてご紹介します。
“本殿”とも呼ぶべきヴェルサイユ宮殿から歩いて15〜20分ほどかけると見えてくる、赤と白の大理石造りの離宮が「グラン・トリアノン」です。
日本語では「大トリアノン」とも書かれるこの離宮は、当初は磁器の展示館として太陽王ルイ14世の時代にヴェルサイユ宮殿とともに建築されます。
建物もまた磁器によって造るという非常に凝った演出をしたのですが、磁器の館は耐久性に乏しく、結局ルイ14世は建て替えを命ます。
その後完成したのが、現在の姿である大理石によって造られたグラン・トリアノンになります。
大理石の館となったグラン・トリアノンは、のちのルイ14世の第一寵姫であるフランソワーズ・アテナイス(モンテスパン公爵夫人)との愛人生活の際に使われます。
写真引用先:Wikipedia
また、フランソワーズ・アテナイスへの寵愛が冷めたのち、ルイ14世は結婚したフランソワーズ・ドービニェ(スカロン夫人、マントノン公爵夫人とも)との暮らしにグラン・トリアノンを再び使用します。
「奥さんとの生活なら、ヴェルサイユ宮殿を使えばいいじゃん」と思う方もいるでしょう。
しかし、この結婚はちょっと訳ありなのです。
というのも、一言に「結婚」と言っても、ルイ14世とフランソワーズ・ドービニェの結婚は「秘密結婚」だったのです。
フランソワーズ・ドービニェという女性はもともと貧しい家系の生まれで、様々な縁と僥倖によって貴族社会に触れることはできましたが、それでもフランス王ルイ14世との身分の差はあまりに大きく、2人の結婚は貴賤結婚にあたりました。
それでも、彼女の人柄と宮廷内での働きに惹かれたルイ14世は、彼女と結婚することを決意。
2人で秘密裏に暮らすために、このグラン・トリアノンが使われたというわけなのです。
写真引用先:Wikipedia
何かと“隠れ家”的な役割を果たしていたグラン・トリアノンですが、もちろん、時には貴賓を招いて宮殿での格式高いマナーを忘れて過ごすこともあったそうですよ。
ルイ14世の時代以後、グラン・トリアノンはルイ14世の血族が基本的には使用していくこととなりますが、血族以外の有名どころではナポレオン・ボナパルト(ナポレオン1世)もこのグラン・トリアノンを使用していたことがあります!(この際は、ナポレオンの二人目の妻であるマリー・ルイーズとの生活で使われました。)
その後、ヴェルサイユ宮殿が革命などの影響で王族に使われなくなるとグラン・トリアノンも寂れてしまうのですが、近代に入ってヴェルサイユが観光地化すると、グラン・トリアノンの整備も進むこととなりました。
現在では、グラン・トリアノンはヴェルサイユ宮殿敷地内の観光地としてだけでなく、フランス首相官邸の一つとして外国からの来賓をもてなす際にも使用されていいます。
グラン・トリアノンの様子
ではでは、写真とともに実際のグラン・トリアノンの様子をご紹介してきます。
グラン・トリアノンの建物内は、一見するとヴェルサイユ宮殿の一室と同じ雰囲気なのですが、こちらの方がやはりコンパクトで、その分生活感を感じられました。
それぞれの部屋は色合いや模様が統一されており、各部屋ごとで雰囲気が全然異なったのも印象的でした。
鮮やかな”紅と白”の大理石で造られた離宮とその中の彩り豊かなお部屋を眺めながら、王族の隠れ家生活をちょっぴり味わうのも新鮮でとても楽しい時間でした!
プティ・トリアノン(Petit Trianon)について
プティ・トリアノンの歴史
お次は「プティ・トリアノン(Petit Trianon)」について。
プティ・トリアノンは元々、ルイ15世が公妾(こうしょう)であるポンパドゥール夫人のために建てた離宮になります。
その名の通り、グラン・トリアノンよりコンパクトなつくりとなっているプティ・トリアノンですが、完成した時にはポンパドゥール夫人はすでに亡くなってしまっていました。
ちなみに公妾というのは、日本でいう「側室」のようなものだと思ってもらえればイメージしやすいのですが、実態は大きく異なります。
「側室」はあくまで「使用人」という立ち位置に変わりはなく、正室(正妃)の力が絶対だったのに対し、
「公妾」は時として正妃以上に権力を持ち、夫である王や皇帝の意思決定にまで影響を持っていました。
ポンパドゥール夫人は、そんな”力ある”公妾だったのですね。
と、話はプティ・トリアノンに戻り、、
夫人なきルイ15世にとってプティ・トリアノンはなんの価値もなくなり、結局ルイ15世は新設のプティ・トリアノンではなくグラン・トリアノンを使ったそうです。
そして、このプティ・トリアノンが本格的に使われるようになるのは、ルイ16世によって王妃マリー・アントワネットに与えられてからとなります。
写真引用先:Wikipedia
マリー・アントワネットは、宮殿の喧騒や堅苦しい礼儀作法から解放されたこの場所を大層気に入ったそうで、その中でも庭をイギリス風の農村にアレンジして特に好んだといいます。
マリー・アントワネットというと、絶世の美貌の持ち主にしてファッションリーダー的な存在でありながら、浪費癖があって”わがままな王妃”という印象を持たれがちですよね。
実際その通りだったようですが(笑)、ネガティブな印象の方については多少多目にみてあげられないわけでもありません。
というのも、マリーの出身地であるオーストリアはフランス王室と比べて自由な風潮が強かったそうで、オーストリアののびのびとした環境で育ったマリーはヴェルサイユの堅苦しさに馴染めず、また夫のルイ16世とも”本当の”夫婦になりきれていなかったようなのです。
そんな日々の憂さ晴らしから、夜な夜な身分を隠してパリの街に出て遊んでいたり、宝石などのアクセサリーを買いあさっていたりしたと言われています。
当時のフランスでは、”貞淑な王妃”が理想の王妃像とされていましたから、快活なマリーは
「ルイ16世の王妃として十分な役割を果たしていないにも関わらず遊んでばかりだ」
と思われても無理はなく、結果、王宮で悪い噂が立つようにもなります。
王宮での悪評は国民にも広がっていき、当時の「打倒王政」の雰囲気も加わったことで、最終的には断頭台への道へとマリーを追いやることとなるのです。
このような王妃の悲しいエピソードが、「悲劇のヒロイン」として現代ではむしろ注目の的なのかもしれませんね…!
ともあれ、今ではその名を知らない者の方が少ないであろうマリー・アントワネットが愛した離宮、そして庭園ということで、
プティ・トリアノンは「Domaine de Marie-Antoinette(ドメーヌ・ドゥ・マリー・アントワネット)」、付属の庭園は「Le Hameau de la Reine(ル・アモー・ドゥ・ラ・レーヌ)」、
それぞれ日本語で、「マリー・アントワネットの離宮」、「王妃の村里」とも呼ばれているのです!
プティ・トリアノンの様子
では、「マリー・アントワネットの離宮」ことプティ・トリアノンの様子をご紹介していきます!
プティ・トリアノンは、グラン・トリアノンよりもさらに小ぶりでより生活感を感じることができました。
小さいと言っても、その中から溢れる高貴な空気をむしろ絶妙に飾り付けているようで、とても”可愛らしい”雰囲気をつくっていたように思います。
写真では用意していないのですが、当時のトイレなんかも見ることができて、フランスの歴史やフランス王朝、そしてマリー・アントワネットが好きだという方は必見の場所ですよ!
王妃の村里(Le Hameau de la Reine)
プティ・トリアノンからさらに歩いて5~10分ほどのところにあるのが、「王妃の村里(Le Hameau de la Reine)」です。
ここがヴェルサイユ宮殿の敷地内の中で、僕が一番気に入った場所でした!
上でちょこっと触れたように、王妃の村里はルイ16世の王妃にして”悲劇のヒロイン”マリー・アントワネットが、もともとあったプティ・トリアノンの庭をイギリスの田舎の村をイメージしてアレンジした場所になります。
マリーとそのお子さん以外はごく少数の限られた人しか入ることが許されなかったそうで、まさにマリーの心が唯一安まる王妃マリー・アントワネットの秘密の庭園でした。
実際に行ってみると、お庭そのものがかなり広大で、本当に1つの農村のような気分になり、まるで映画のセットに入ったかのようでしたね!
プティ・トリアノンと王妃の村里の間も自然溢れる庭園のようになっていて、そこにはネズミ(?)やカモ、さらには水鳥がいましたよ!
村里の中では白鳥を見れたり、今でも羊やヤギを飼育していたりと、本当に当時の田舎の村を散策している気分になって、僕たちもまた、ゆっくりと心を安めることができたような気がします…!
王妃の村里の実際の様子
では、王妃の村里の様子を写真でご紹介していきましょう!
ここはホント、すごくいい雰囲気でした。。
宮殿や庭園に比べて人もまばらだし、たしかにここなら日々の喧騒を逃れてゆっくりと過ごせそう、そう思わせてくれる場所でした。
マリー・アントワネットがこの地を愛してやまなかったという理由が、少しわかった気がします。
、、うん、ここ、本当に好きでした…。笑
心が洗われます。
夏に来たらまた違った雰囲気、より花々しい庭園なんだろうなぁと思わせてくれるところ。
個人的には、またゆっくり来たい場所No.1ですね!!
ヴェルサイユ宮殿離宮のアクセス・開館情報
パリからのアクセス(ヴェルサイユ宮殿本館へ)
1.RERのC線を利用。終点ヴェルサイユ ・シャンティエ・リヴ・ゴーシュ駅(Versailles Château Rive Gauche)下車。その後徒歩約10分。
2.国鉄モンパルナス駅からTransilienでヴェルサイユ ・シャンティエ駅(Versailles-Chantiers)下車。その後徒歩約15分。
3.国鉄サン・ラザール駅からTransilienでヴェルサイユ ・リヴ・ドロワト駅(Versailles – Rive Droite)下車。その後徒歩約20分。
宮殿本館から各離宮へ
徒歩だと20~30分かかります。
時間がない、歩きたくないという方はプチ・トランの利用がおすすめ。
トランは、宮殿、グラン・トリアノン、プティ・トリアノン、大運河を順にまわります。
乗り場・降り場に関わらず、一度乗車するのに€7.50。
また、レンタサイクルやカートレンタルもあります。
開館時間
グラン・トリアノン、プティ・トリアノンともに
4~10月 12:00~18:30
11~3月 12:00~17:30
(入場は閉館の30分前まで)
休館日:1/1、5/1、12/25、月曜日、その他公式行事がある日
料金
€12(宮殿とは別にチケットが必要です)
18歳未満と11~3月の第一日曜日は無料
パリ・ミュージアム・パス使用可能
宮殿とのセットチケットや事前購入については公式サイトをご覧ください。
ヴェルサイユ宮殿の2つの離宮と王妃の村里 まとめ
ということで今回の記事では、ヴェルサイユ宮殿の敷地内にある2つの離宮「グラン・トリアノン」と「プティ・トリアノン」、さらに、マリー・アントワネットが愛した「王妃の村里」をご紹介してきました。
魅力はここまでで十分に語ったつもりで、、いや、まだ足りないかもしれないな!笑
特に「王妃の村里」について!
くどいようだけど、ここは本当に素敵なところでした。
マリー・アントワネットのように、日々のお仕事や人間関係に疲れた方々、フランスへ行く機会を作り、そしてこの村里で心を癒してください!笑
もちろん、マリー・アントワネットの村里だけでなく、グラン・トリアノン、プティ・トリアノン、そして、ヴェルサイユ宮殿と大庭園も見所満載です!
みなさんもぜひ、一日かけてゆっくりと、フランス王家の象徴であり最高傑作の宮殿と庭園、そして離宮と村里を堪能してみてくださいね!!
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