今回ご紹介するのは、「カルナック神殿複合体」とも呼ばれるエジプト最大の遺跡「カルナック神殿」です!
敷地内に複数の神殿を内包する神殿群とも言えるのがここカルナック神殿であり、同じくルクソール東岸に位置するルクソール神殿とともにルクソール二大神殿、さらにはエジプト二大神殿とも呼ばれています。
とにかく見どころが多く詰まっているカルナック神殿ですから、今回は写真たっぷりにお届けしていますよー!!
カルナック神殿の歴史
まずは、「カルナック神殿複合体(Karnak Temple Complex)」とも呼ばれる「カルナック神殿(Karnak Temple)」の歴史をさっくりとご紹介します!
カルナック神殿ないしは複合神殿の中心的役割を果たしているアメン大神殿の大元となる祠堂は、古代エジプトの中王国時代の頃に建てられた考えられていますが、はじめはテーベの地母神であるムトやモンチュ(メンチュ)、そしてテーベの守護神であるアメンに捧げられた比較的小規模のものでした。
それでも、既にテーベの地がアメン信仰の中心的役割を担っていたと考えられており、その中でもカルナックは神域として扱われていたそうです。
そして、古代エジプト第18王朝以降の新王国時代(前16世紀~前11世紀)にテーベが宗教上の中心地となり、アメン信仰が太陽神ラーと結びついてエジプト全土に広がると、カルナックは「聖地」としてより重要な場所として扱われるようになります。
この第18王朝の時代に、カルナック神殿は最も拡張がなされます。
“軍人王”トトメス1世や“最初で最後の女性ファラオ”ハトシェプスト、”古代のナポレオン”トトメス3世、”建築王”アメンホテプ3世をはじめとする、ほぼすべてのファラオたちが何らかの増築や改築をしたとされています。
続く第19王朝の時代にも大々的な建築はなされ、中でもセティ1世、”大王”ラムセス2世、メルエンプタハの三世代にわたる時代が最盛期だったと考えられており、彼らの建築によって現在の規模に至ったと言っても過言ではないとされています。
第20王朝以降は古代エジプト衰退期であり、ラムセス3世やラムセス4世といった今日にも明確な偉業や名前が残されているファラオ以外は、大きな増改築はしませんでした。
その後、エジプトはアレクサンドロス3世(アレクサンダー大王)の後継候補であったプトレマイオスによって「プトレマイオス朝」として支配され、さらにその後はローマ帝国によって支配されることとなります。
この時代になるとテーベはもはや一地方都市、ないしは一町村にすぎなくなり、カルナック神殿は、キリスト教会としてや軍の基地として再利用された場所以外は廃墟に近い形となってしまっていました。
そして近世に入ったところでテーベの跡が発見され、これに付随するようにカルナック神殿も発見・発掘されるようになりました。
こうした歴史を踏まえると、カルナック神殿は古代エジプトの栄枯盛衰とともにあった神殿と言えますし、それゆえに当時の雰囲気や建築物の様子を深く深く感じることができる場所となっているのでしょう!
👇テーベについてより詳細な歴史は、こちらのルクソールのまとめ記事をご覧ください!
カルナック神殿を巡る
ではでは、実際に撮ってきた写真とともにカルナック神殿を巡っていきましょう!
カルナック神殿の前に訪問したルクソール神殿から、徒歩で1時間ほどの道のり。
しかも入場場所がわからず、裏手の門に来てしまったところから始まりました。笑
このメインとなる神殿が「アメン大神殿」であり、一番手前にそびえるのが第1棟門になります。
この第1棟門を含めた神殿を囲む城壁は、数少ないエジプト王朝末期に建てられたもので、第30王朝のネクタネボ1世によって建設されたと言われています。
第1棟門の正面に伸びているのが、ルクソール神殿とカルナック神殿を結んでいたスフィンクス参道。
現在はほんの少しを残すのみとなっていますが、当時は3km弱にもおよび道を繋いでいたというのだから本当に驚きです!
カルナック神殿やルクソール神殿をはじめとするルクソールのスフィンクスは、多くの人が想像する「頭が人間、体がライオン」のスフィンクスではなく、頭は牡羊となっています。
これは、テーベの地方神であり新王国時代は最高神でもあったアメンが、時に牡羊の姿で描かれることがあることに由来していると考えられています。
スフィンクス参道を通り、第1棟門をくぐった先が第1中庭です。
そして、第1中庭を抜けた先が、カルナック神殿・アメン大神殿の中で随一の見どころである大列柱室です!
セティ1世が建設を開始し、続く子のラムセス2世が完成させた134本の巨大なパピルス柱からなる列柱室。
太く長い列柱がズラッと立ち並ぶ様子は、テーベ・ルクソールの、そして古代エジプト新王国時代の巨大建築のハイライトと呼べるでしょう!
ラムセス2世といえば「カディシュの戦い」ですよね!
次にご紹介のコンス神殿の記念門であり、「バブ・エル=アマラ」という異名も持っています。
大列柱室から奥へと向かった側の端にあたる第3棟門を越えると、二本のオベリスクが見えます。
手前にあるのがトトメス1世のオベリスクで、奥に見えるのが女王ハトシェプストのオベリスクになります!
アメン大神殿の敷地内には、聖池もあるのですよ!
トトメス3世が奉納したとされるこの聖池では、神殿の儀式を行なう前に神官たちが自身を清めていたと考えられています。
スカラベは「フンコロガシ」のことで、 古代エジプトでは神の化身として扱われていました。
このスカベラの像を反時計回りに3周まわると「願い事が叶う」とされ、5回まわると「幸せな結婚ができる」、7回まわると「またカルナック神殿に戻ってくることができる」のだそう。
ただ、人によって持たせる意味合いが変わってくるのだそうで、とりあえず、「3回、5回、7回周ると、何かしら良いことが起こる」くらいでいればいいのではないかと思います!笑笑
倒れてしまったものの上部のみではありますが、立っていてはなかなかみることができないオベリスクの上部を間近で見ることができますよ!
再び大神殿の中央部分に戻ってきました!
こちらが「至聖所」と呼ばれる、アメン大神殿ならびにカルナック神殿の大元の祠堂、いうなれば始まりの場所、という非常に重要な地であります。
至聖所からさらに先へ進むと、「トトメス3世祝祭殿」を見ることができます。
残っているのはほんの一部のみなのですが、柱や壁にうっすらと色が残っており、他ではなかなか見ることができない場所となっていますよ!
トトメス3世祝祭殿のさらに裏手にも、広く土地が広がっています。
こちらは「ハトシェプスト女王の植物園」と呼ばれているそうで、現在は廃墟に近い状態と化していますが、ところどころにエジプトには自生しない植物のレリーフや壁画が刻まれていることから、他国から輸入した植物を何らかの方法で観賞できるようにしていた場所であったと考えられています。
貿易を盛んに行ったハトシェプスト女王らしい場所です!
テーベの地母神であるムトやモンチュに関わるものはこの黒色花崗岩でつくられている傾向にあるので、それらに関わる部屋・祠なのかもしれません。
物の見事に顔部分が壊されています。笑
歴代のファラオたちは増改築の事業の中で、先代のファラオが建てたものを取り壊し、そこに自らのものを建てたりもしています。
先代の偉業を自らのものに見せたかったのか、後継の部分からあえて取り壊したのか、今となっては”説”にすぎませんね。。
これほど様々なところに描かれているのを見ると、完成当時はどれほどのものだったのだろうかとワクワクしてしまいます…!
本当に古代の人類は謎ばかりですね〜
ピネジェム1世はアメン大司祭が国家を支配し始めた第21王朝のファラオと考えられています。
カルナック神殿の基本情報
開場時間
6:00~17:30
入場料
80£E(学生は40£E)
👇何度か出てきた女王ハトシェプストについては、こちらの記事をご覧ください!
ナイル川の夕日
おまけに近いですが、カルナック神殿を見終えてからアスワンへの電車の時間まで時間を潰していた、ナイル川のほとりの様子をご紹介したいと思います。
ルクソールでみたナイル川の夕陽は本当に素晴らしかったです!!
太陽が信仰の対象になるのも頷けます。。
夕陽とナイル川。
こうした自然の営み、みたいなものを見ると、古代の人々がどのように世界を捉えていたのか、その一端を僕も感じることができた気がしてきます。。
エジプトに限らずすべての国において、ただ観光地を巡るだけでなく、こうした”自分の感覚”に訴える時間も取ってみると、日常では絶対に感じることができない”何か”を感じ、得ることができますよ!
ちなみに、こちらがルクソールからアスワンへの電車の乗車券です!
👇アスワンについてはこちら!!
カルナック神殿のまとめ
今回はエジプト最大の、そして、世界的にみても最大規模かつ非常に重要な遺跡であるカルナック神殿についてご紹介してきました。
現在でも修復や発掘は完了しておらず、複合神殿の中心部であるアメン大神殿以外は瓦礫の山となっていたり、廃墟のような様相を呈している場所も少なくありません。
ですが、立ち入ることができる場所だけでもその規模はうかがい知ることができますし、とにかく圧巻の見応えです!
ルクソールに来たらこのカルナック神殿には是非とも立ち寄っていただきたい!
同じく東岸に位置するルクソール神殿や、西岸の遺跡群たちでも古代エジプトの巨大建築を目の当たりにできますが、カルナック神殿の規模はその上をいくものがありました。
古代エジプト最盛期の繁栄をその身で味わうのなら、ここカルナック神殿が一番ですよ!!
そして、悠久なるナイル川を感じ、古代エジプトに想いを馳せることができるのもルクソールの大きな魅力です!
ゆったりとした時間の中で、”非日常”を味わう。
これも旅の醍醐味ですね!!
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