こんにちは!旅狼かいとです。
今回は「東寺」こと「教王護国寺」についてお届けします!
歴史好きの方なら、京都の東寺と聞くと「今日まで唯一残る平安京のお寺」というイメージをお持ちになっていたり、「空海によって真言密教の根本道場となった」という歴史・文化的な価値を知っているかもしれません。実際、東寺は古代日本の文化を伝える重要な遺構として「古都京都の文化財」の一部に含まれる形で世界遺産にも登録されています。
しかし…!近年の東寺の魅力はそれだけではないのです!
それが「秋の紅葉」ですね!
京都の観光地化が進むにつれて、ここ東寺においても境内の美しい景観を積極的に開放するようになり、今では京都有数の紅葉スポットとして知られているのです!団体ツアーはもちろん、修学旅行や女子旅でも境内の風景を一目見ようと観光客が集まってくるといいます!
シンボルの五重塔と合わせ新たな魅力を発信している東寺。このブログでは、そんな東寺に行くなら絶対に知っておきたい歴史と見どころをご紹介していきます!
東寺(教王護国寺)の歴史

桓武天皇によって長岡京から平安京へと遷都された際、平安京の正門にあたる羅城門の東西に「東寺」と「西寺」という2つの寺院の建立が計画さます。
東寺と西寺の2つの寺院は、それぞれ「平安京の左京と右京を守る王城鎮護の寺」と「日本の東国と西国とを守る国家鎮護の寺」という2つの意味を持っていました。
そのため国立の寺院として「官立寺院(官寺)」の役割を担っていました。
その後、東寺は嵯峨天皇によって唐で密教を学んで帰国した僧侶「空海」に託されます。
真言宗の開祖であり「弘法大師」という諡号(しごう)でも知られる空海。
空海が東寺に真言密教の道場を建てたことで、東寺は日本で初の密教寺院となり、同時に真言密教の根本道場(真言宗全体の総本山)にもなりました。
平安時代後期になると平安京の荒廃とともに東寺も衰退しますが、
鎌倉時代に入ると、弘法大師信仰の高まりとともに「お大師様の寺」として皇族から庶民に至るまで幅広い層からの信仰を集めるようになります。
ちなみに、東寺とともに建てられた西寺は平安京が廃れるのと同時に荒廃し、再興することはありませんでした。
平安京には東寺と西寺のみ新たな寺社仏閣としての建立が認められていたため、東寺は「今日まで唯一残る平安京のお寺」なのです!

東寺が弘法大師信仰の中心地として栄える時代、中でも空海に深く帰依したのは、後白河法皇の第六皇女「宣陽門院(せんようもんいん)」でした。
「覲子内親王(きんしないしんのう)」の名でも知られる宣陽門院は夢の中でのお告げに従い、東寺に莫大な荘園を寄進します。
さらに、空海が今も生きているかのごとく毎朝食事を捧げる「生身供(しょうじんく)」や、毎月21日の空海の命日に供養を行う「御影供(みえく)」などの儀式を発案・実践します。
生身供の儀式については、なんと宣陽門院がこの世を去ってから数十世紀経った今でも、毎日6時から東寺の西院御影堂で行われているのですよ!
御影供についても毎月21日が「御影供の日」として定められ、東寺境内に「弘法市」と呼ばれる骨董市として形が残されています。

その後、東寺は後宇多天皇や後醍醐天皇、足利尊氏といった多くの貴族・皇族・為政者たちの援助を受けて栄え続けることとなります。
文明18年(1486年)の大火災で主要堂塔のほとんどを失うことになった際にも、豊臣家や徳川家などの援助により再建された歴史があります。
これら幾たびもの火災によって、東寺には創建当時の建物は残ってはいません。
しかし、南大門・金堂・講堂・食堂(じきどう)が南から北へ一直線に整然と並ぶ伽藍配置や各建築物の規模は平安時代のままであり、当時の雰囲気を存分に堪能できる空間となっています。
これらの歴史が認められ、東寺は1994年に「古都京都の文化財」の一部としてユネスコの世界文化遺産に登録されました。
東寺?それとも教王護国寺?

ここまでこの記事では統一して「東寺」と書いてきましたが、東寺には「教王護国寺」という名称もあります。
あまり知られていませんが、「金光明四天王教王護国寺秘密伝法院」と「弥勒八幡山総持普賢院」という2つの正式名称まで存在しています。笑
。。もう、何が何だかってかんじですよね。笑笑
「教王」という言葉には「王を教化する」という意味が込められているそうです。
「教化」というのは、現代では「人を教え導き、道徳的、思想的な影響を与えて望ましい方向(善の方向)に進ませること」をいい、仏教用語では「説き教えて感化し、人々を仏道に導くこと」をいいます。
つまり、「教王護国寺」という名称には「王を含めたこの国のすべての人を善い方向へ導き、国を護るお寺」という意味があると考えられますよね。
ちなみに公には「国家鎮護の密教寺院」という意味合いを持っているとのことです!
では、本題の「東寺か教王護国寺かどっちなのか問題」です。
現在の宗教法人としての登録名は、実は「教王護国寺」なのです!
が、、平安京に建てられた際に用いられた名称は「東寺」であり、以降平安時代における公式の記録にも「東寺」と書かれており、「教王護国寺」という名称は一切使われていないそう。
では、いつ頃から「教王護国寺」という名称が登場することになったのかというと、仁治元年(1240年)のことと残されています。
しかし、わかっているのは時期のことだけで、名称の成り立ちについて詳しいことはわかっていないそうです。
結局、その後の東寺について書かれた多くの文章でも「東寺」が使われており、重要文書になればなるほど「東寺」の名称の使用比率は上がっているみたいですね。。
今日の東寺においても、南大門前の石柱には「真言宗総本山 東寺」と書かれており、南大門や北大門、慶賀門などに掲げられた寺名入りの提灯にも「東寺」の名が記されていることから、
お寺側でも「東寺」の呼び名を使用していることが伺えます。
これは僕の推測ですが、「東寺」という名称の寺院は”京都の”東寺以外にも日本全国に存在していることことから、それらとの差別化という意味合いで法人登録は「教王護国寺」という名称を使用しているのだと思います。
ですので、京都の東寺を呼ぶときは「東寺」と呼んで差し支えなさそうですよね!
ともあれお寺の名前一つでこれだけあれこれ書けるということからも、東寺の歴史の深さが伺えます!
東寺の見どころ
ではここから、観光で東寺へ行くさいの見どころをご紹介していきます!
五重塔

東寺の一番のシンボルといえば、この「五重塔」です!
弘法大師(空海)が朝廷に協力を要請したことで建立にこぎつけたという東寺の五重塔。
落雷などによって4度の焼失を経験しましたが、そのたびに再建を果たしてきました。
今日の五重塔は1644年(寛永21年)に建てられた5代目。
江戸幕府3代目将軍の徳川家光の寄進によって再建されました。

金堂

796年(延暦15年)に東寺が創建された際、最初に建立されたのが「金堂」です。
金堂には金堂には東寺の本尊である薬師如来像が安置されており、非常に重要な建物になります。
右側に日光菩薩、左側に月光菩薩が立つ本尊の薬師如来は、薬壺を持たない古い様式の仏像で、光背に七体の化仏(けぶつ)が配された七仏薬師如来という如来像なのが特徴です。
また、薬師如来像の台座には十二神将が彫られています。
これらの様式は奈良時代のものであることから、東寺の歴史の深さをうかがい知ることができますよ!
金堂自体は、いまの建物は関ヶ原の戦いののちに建てられたものになります。
宋の様式を取り入れた天竺様と和様を合わせた桃山時代の代表的な建築物であり、屋根の中央の切り上げは、東大寺大仏殿や平等院鳳凰堂にも見られる特徴的な形となっていますよ!
名も無い庭園

名前は勝手に僕がつけたものです。笑
五重塔の前に広がる庭園が、東寺におけるもっとも紅葉が広がるスポットとなります。
五重塔との2ショットは、秋の京都でも随一のフォトスポットと言えるでしょう!

東寺の観光案内

拝観時間・期間
5:00開門・17:00閉門
夜間特別拝観(ライトアップ)
2021年10月30日(土) 〜 12月12日(日)
18:00~21:30(受付終了は21:00)
宝物館公開
2020年9月20日(月) ~ 11月25日(木)
9:00~17:00(受付終了は16:30)
国宝五重塔 初層の特別公開
22021年10月30日(土) 〜 12月12日(日)
8:00~17:00(受付終了は16:30)
講堂公開
2021年10月30日(土) 〜 12月12日(日)
8:00〜17:00(受付終了は16:30)
18:00~21:30(受付終了は21:00)
※すべての特別展は、期間中無休
料金
御影堂、食堂など
無料
金堂・講堂
この入場券が、境内主要部分への入場料になります。
大人:500円
高校生:400円
中学生以下:300円
五重塔初層、金堂・講堂
大人:800円
高校生:700円
中学生以下:500円
宝物館
大人・高校生:500円
中学生以下:300円
観智院
大人・高校生:500円
中学生以下:300円
夜間特別拝観(ライトアップ)
大人・高校生:1000円
中学生以下:500円
ライトアップの拝観券には、金堂と講堂の拝観も含まれています。
その他
各期間内の公開中建物をすべて拝観できる共通券も販売中。
東寺の入場券は季節によって組み合わせがかなり変わります。
事前にどこを見たいかリストアップし、入場券を買う際にいきたい場所からどの入場券が最もお得かを聞いてしまうのが一番よいと思います!
詳しくはコチラの公式サイトの料金表もご覧ください。

紅葉の見頃
色づき始め:11月上旬
見頃:11月中旬~12月上旬
観光のおすすめ時間
朝一番・午前中
アクセス
近鉄東寺駅 から徒歩10分
京都駅八条口 から徒歩15分
市バス 東寺東門前 からすぐ
東寺のまとめ

ご紹介してきました、教王護国寺こと東寺、いかがだったでしょうか!
今回は時間の兼ね合いで境内の散策のみとなってしまいましたが、金堂や講堂では、薬師如来像や十二神将像、立体曼荼羅といった平安京時代から続く貴重な遺構をみることができます。
紅葉の名所でありながら、日本の歴史や文化にも数多く触れることができる。
まさに京都ならではの観光名所といえます。
他の京都の見どころ・観光地と比べるとまだ穴場感があるのもプラスポイントですよね!
ぜひみなさんも、今のうちに東寺の紅葉と歴史に触れてみてください。
きっと新たな興味の扉を開くこと、間違いなしですよ!!